すぐイライラしてしまう、すぐ落ち込んでしまう、いつもやる気が出ない…いわゆる感情や意志といったものは、心の問題、マインドの問題、あるいは性格の問題のように捉えられがちです。
でも、実際には、目に見えないその感情なり意志なりが出てくるのには、脳や神経、ホルモンといった体の状態が関わっています。
もちろん体が全てではないのですが、体の状態が心の状態に多分に関わっているということを私たちはうっかり忘れていることが多いのではないでしょうか。
たとえば、うつには運動療法も有効だということはもはや周知の事実ですが、これはまさに「運動する→脳や神経、ホルモンに変化が起こって体の状態が変わる→心の状態も変わる」ということなんですね。
その観点で言えば、動くことだけでなく、食べるものを見直すことも、心を整えるのにいいと言えます。
言うまでもなく、食べるものもまた私たちの体の状態を作るのに大きく関わっているからです。
10年以上前ですが、イギリスの公共放送BBCの『Food Mood』という番組で、食べ物が人間の感情や行動にどう影響するのかを実験していたことがあります。
たとえばクラブの閉店後に多かった暴力沙汰が、閉店後のお客さんにチョコレートを食べてもらうことで激減した、とか。
うつで悩んでいた方が、栄養士の指導のもと、魚と有機野菜をよく食べる食生活に変えたら二週間で変わってきた、とか。
このBBCの番組では、西洋らしく、主に糖分、炭水化物やタンパク質などといった栄養素と心の関係を見ていました。
一方、東洋医学では、栄養素ではなく、甘味、酸味、苦味など風味と心が関係していると考えられています。
この辺りは、「東洋医学・五行・感情」と言うキーワードで検索すると情報がたくさん出てくるので、気になる方はぜひ探してみてください。
アースン・アスとしては、どちらが正しいということはなくて、一人一人その時々で最適なものは違う、と考えています。
なので、ここでは、食べ物を見直すというアイデアをお伝えするだけで、具体的に何をどう見直すのがいいかは、ぜひあなたのハートに聞いてほしいと思っています。
ハートに聞くっていうのは、シンプルに「これは試してみたいな」「試してもいいかも」と思ったものをやる、です。
このとき、「やる」、つまり実践するってことがとっても大事です。
というのも、実践しなければ、脳や神経、ホルモンに変化を起こせないから。
逆に言うと、七面倒くさいことを考えなくても、実践すれば変化は絶対に起こせるんです。
体からのアプローチを私がつい推してしまう理由はここにあります。
まさに「やってみなはれ」(by 松下幸之助)です。
さあ、ハートに手を当てて問うてみてください。
「今、食べ物を見直すとしたら、この方法だな」「この方法なら、今すぐやれそうだ」と感じることはありますか?
たとえば、ジャンクフードを食べ過ぎだから、それはちょっと減らそうかな、とか。
毎日コンビニのお弁当だけど、週に1日くらいは自炊できるかもしれない、とか。
答えが出てきたら、ぜひそれをトライしてみてください。
毎日それをしなきゃいけないということはないし、ましてや今後一生その食生活を続けろというのでもありません。ただ、今、ちょっとやってみられそうなことをやってみる、です。
そうやって一度試して良かったやり方を続けたいと思えば続ければいいし、変えたいと思ったら変えて構いません。
生き物というのは絶え間なく変化しているので、その時々で最適な方法が変わるのはものすごく自然だから、一つのやり方に固執することはないんですね。
最後になりますが、すぐイライラしてしまう、すぐ落ち込んでしまう、いつもやる気が出ないといったことは悪いことじゃないんだよ、ということも声を大にしてお伝えしたいです。
たとえ今、どんなに最悪な気分でも、今この瞬間のあなたがそういう状態というだけ。
あなたがどういう状態であっても、それが今のあなたのベストですし、あなたの本質の輝きはどんな状態であっても損なわれることはありません。
そのことを、どうぞ忘れないでくださいね。