グリーフ研究所、始めます

Earth'n Usで扱うテーマに「Grief(グリーフ)」を追加しました。その名も「グリーフ研究所(Grief Research)」として連載を始めます。

グリーフ(Grief)は人が何かを喪失した時に現れる反応のことで、日本語では「深い悲しみ」「悲嘆」「哀悼」などと訳されることが多いようです。

何かを喪失するというのは、たとえば家族や配偶者などとの死別がわかりやすい例ですが、それに限らず、離婚、失職、ペットとの別れ、さらに災害や病気によってこれまでの日常生活を失うときの悲しみもまたグリーフに含まれます。

グリーフは感情的な側面に限らず、身体的、精神的、社会的、文化的側面まであり、グリーフを体験している人まるごとの体験がグリーフだと言っていいくらい範囲が広いものでもあります。

Earth’n Usの主催者である私は、8年前に当時40歳の前夫を亡くしていることもあり、グリーフ、そしてそのグリーフにどう対処するかというグリーフケアについて、かなり関心を持って情報を仕入れてきました。

ただ、熱心に学んできたわりにはそれを発信しようという気には、これまでずっとなれませんでした。

その理由を分析すると、大きく三つほどあります。

一つは、たくさんの情報を得たからといって自分は別にグリーフやグリーフケアの専門家ではないということ。だから、情報発信なんておこがましいと思っていたんですね。

もう一つの理由は、グリーフについて知れば知るほど、グリーフ体験は個人個人で全く異なるということがわかってきたことです。情報を発信するというのは、個別にできるカウンセリングやセラピーと違って、どうしても大多数を想定した内容にせざるをえず、そうすると、どんなに頑張って何かを伝えたところで、読んでいる人が本当に必要としていることを発信するのは難しいと考えていました。

そして、三つ目、最後の理由は、自分自身です。前夫を亡くして8年が経ち、再婚して幸せに暮らしている今でも、自分の中でまだ整理できずにいる何かは残っていて、そこを見ないふりをしている自分に気づいています。そんな私がグリーフについて書き伝えるとなれば、おそらくその整理できていない何かに向き合わなければならない…けれど、その準備はできていませんでした。

でも、ここへきて、いろいろあって、心境の変化がありました。

情報発信なんておこがましいとは今でも思っています。ましてや個人個人それぞれの人に必要な情報を発信したいだなんて、さらにおこがましい、と。でも、別に誰かに教えるっていう立場で発信しなきゃいけないわけじゃないじゃんと思い直すようになりました。教えることはできないけれど、自分が経験したこと、そして経験を通して学んでよかったと思う物事をシェアしないのは、宝物を独り占めしているようなもんだ、と思うようになったんです。

もちろん、すぐにそう感じられるようになったわけではありませんし、先に述べたようにグリーフの体験は人それぞれですから、皆さんもそうあるべきだと言いたいのではありません。

ただ、グリーフのつらさは多かれ少なかれ誰もがいろんな形で体験することだから、そのつらいときをやり過ごすにあたっての知識をたくさん持っているほどいい、と思うようになり、だったら自分の知っていることを伝ればいいと思えるようになったんですね。

たとえば風邪を引いて体調が悪いときには体を温める、よく寝る、など皆さんそれぞれ対応なさるじゃないですか? グリーフもまさにそれと同じで、どういうこと(反応)が起こりえて、どういう対処法があるかを知っておくと、それは生きる知恵になると思うのです。

と言いながら、この連載を続けていくにあたっては、どういうことを書いていきたいか、この連載を通して何をしていきたいか、ものすごく具体的には見えているわけではありません。一言でグリーフといっても、死別だけでなく離婚や引っ越し、ペットとの別れ、病気(これまで慣れ親しんだ生活の喪失)など多岐にわたるので、それを全部カバーしたいのか、死別だけに特化したいのか、自分ではまだよくわかりません。

ただ、漠然とですが、ビジョンと目標はあります。

(1) グリーフは誰もが直面することだから、グリーフやグリーフケアについてももっと一般に知られるようになってほしいし、みんなが気軽にグリーフについて語れるようになってほしい

(2)亡くなった人について書き込んでいくことで完成する書き込み式のメモリアルブックを作りたい

それ以外のことは全く見えていない状態で見切り発車なのですが、皆さんのご感想やご意見を伺いながら、方向性を明確にしていきたいなと思っています。自分が苦手である「まずは動いてしまう。動きながら考える」を、この連載では実践していきたいという自分なりのチャレンジです。

前述したように、皆さんと作り上げていくコンテンツになるといいなと思っているので、グリーフについて知りたいこと、取り上げてほしいことがあれば、どうぞコメントや問い合わせフォームからお気軽にご連絡くださいね。