慢性的な痛みとストレスの関係

腰痛や肩の痛みなど慢性的な痛みに関して、原因はその部位にあるとは限らないと考える、Threat Bucket(脅威のバケツ)と呼ばれる理論をご存じですか? なかなか治らない慢性的な痛みがある場合、この脅威のバケツの視点を取り入れて対策をすることが症状改善のヒントになるかもしれません。
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私がこの脅威のバケツの考え方を聞いたのは数年前、サンディエゴを拠点に活動しているアスレチックトレーナー、川尻隆氏からでした。

といっても、この考え自体は川尻氏が考案したわけではなく、痛みというものの研究の中で出てきた最新の科学。

とりわけ、アメリカにある、神経科学を中心にしたヘルス&フィットネス専門家のための教育機関、Z-Healthの創始者であるエリック・コブ氏(Doctor of Chiropractic)が提唱していることで知られます。

脅威のバケツの考え方はシンプル。ですが、西洋医学的な、要素還元的な視点とはまた異なる見方なので、受け入れるのにはちょっと時間がかかるかもしれません。

脅威のバケツの概念

脅威のバケツの考え方を図式にするとこんなイメージです。

脳には「脅威」を溜めていくスペース(バケツ)があり、栄養状態や体の使い方のクセ、視力や睡眠、仕事や人間関係のストレスなど、生命の存続にとって危機とされたさまざまな要素がそこに溜まっていきます。

そのバケツには蛇口があって、その蛇口は、体が自身で対処できるラインに設定されています。

この理論で言えば、もし生命の存続に危機とされた情報が溜まっていても、その蛇口のラインを越えなければ、あるいはラインを越える前に脅威を減らすケアができれば、症状(痛み)は出ません。

もっと言えば、痛みが出た時でも、このラインを下回るように危機を減らせば、痛みはおさまる可能性があると言えるわけです。

「いやいや、私の腰痛はヘルニアからくるもんだから」という方もいらっしゃると思いますが、現在の科学では、腰にヘルニアがあるという器質的なことと、痛みには直接的な関係はないということがわかってきているそう。というのも、腰痛を感じていない人でもレントゲンを撮るとヘルニアという状態を持っていることが多々あることがわかっているのですね。

腰痛というと「姿勢が」とか、肩こりというと「血流が」とか、私たちは特定の一つの原因を探しがちですが、慢性的な痛みの原因は明確な一つの理由ということはないということでもあります。

逆にいうと、食生活を見直すとか、質の良い睡眠を取るとか、なんでもいいから生命の脅威となっていることを減らすことを意識すると、痛みが改善すると言えるわけです。

ですから、体のどこかに痛みがあるけれど、なかなか治らない、あるいはすぐ再発するという方は、一度、この脅威のバケツの視点から、自分のライフスタイルを細かく見直してみるといいのではないでしょうか。

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