理屈で精油を選ぶのをやめてみよう

寒く、日照時間も短い冬は、なんとなく鬱々としませんか?ひどくなると「季節性うつ」とも言われ、女性に多いことも知られています。日常生活に支障をきたした場合はぜひ専門家を頼っていただきたいですが、そこまで深刻になる前にケアができるのが理想ですね。精油を使ったアロマテラピーは予防的にできるセルフケアの代表格。では、気分が沈んだ時には、どんな精油を選ぶのがいいでしょうか? 

気分が沈んだ時によい精油は…自分が嗅いでいいなと思った香りです!

ああ、怒られてしまいそうです、すみません。でも、実際にそうなんですよ、とここではあえて訴えさせてください。

確かに、アロマテラピーの精油に入っている成分には、薬理作用があることが科学的にわかっているものもたくさんあります。でも、それをベースに「こういう状態の時にはこういう成分の入った精油を選ぶ」というふうにやってしまうと、西洋医学の理論でアロマテラピーを捉えていることになってしまい、それはちょっともったいないと思うんです。

もちろん、西洋医学を否定しているわけではありません(むしろ現代医療へのリスペクトはめっちゃくちゃあります)。また、西洋医学の理論でアロマテラピーを使うことはダメなことだと思っているわけでもありません(むしろ自然な療法で代替できる部分はぜひどんどん代替されるといいと思っています)。ここで言いたいのは、西洋医学の理論でアロマテラピーを使うことは、アロマテラピーの一部でしかない、ということです。

たとえば、ラベンダー精油の主成分は「酢酸リナリル」と「リナロール」で、どちらの成分も鎮静作用があることがわかっています。

で、そういった成分が肺から、もしくは皮膚から血管に入り、その作用を発揮します。これは、「有効成分が体に入り、その成分の有効性が発揮される」ということで、かなり乱暴にまとめれば現代の西洋医学的なアプローチと近しいルートと言えます。

が、しかし、アロマテラピーが心と体に作用するルートには、ほかにもう一つあるんですね。

それが、鼻→脳というルート。

鼻→脳のルートでは、香りの成分が鼻の奥に付着した刺激が電気信号となって、記憶を司る海馬などがある脳の「大脳辺縁系」というところに伝わり、そこから、体温やホルモンの調整をする「視床下部」に伝わります。

この場合、どんな薬理作用のある成分であるか、ということより、脳にどんな刺激が伝わるか、がポイントになります。だから、その精油にどんな成分が含まれていようと、「いい香り〜」「気分いい〜」という気分になる香りであることが重要になるわけです。

すごくシンプルですが、でも、香りによって心地よいという刺激が脳に伝わると、それがホルモンなどを司る視床下部にも伝わって、自律神経系や内分泌系にもいい変化が起こるんですね。そこで、冒頭の一言につながるわけです。「自分が良い香りと思った精油を嗅ぎましょう」と。

この「脳を介して全体のバランスを取る」ということこそ、アロマテラピーの面白さであり、魅力であり、現代の標準的な西洋医学のアプローチと異なる部分だと思います。どちらが良い悪いではなくて、優劣でもなく、おそらく両方が大切で、それぞれの特長をよく知って使い分ける、もしくは包括的に使えるようになることが、次世代のヘルスケアなのではないかと個人的には思っています。

ですので、気分が沈んだ時、理屈はいったん脇において、「今の私はどの香りが気持ちいいかな?」と自分の感覚を大事に精油を選ぶということをぜひしてみてほしいのです。

ちなみに、何を良い香りと思うかは、その時の体調や、その人のそれぞれの記憶の中にある香りの体験など、さまざまな要素が影響するので、人によってかなり異なりますし、日によっても変わります。そういうのに気づくと、自分(人間もしくは生命)というのは一定に安定しているものではなく、瞬間瞬間に変化していて変化の中でバランスを取っているということが実感できるようになり、自分の心身の状態をより感覚的に感じ取れる感性が育まれると思います。

とはいえ、さすがにさまざまな精油がありすぎて、「試しに嗅いでみるにしてもどの香りから手をつけていいかもわからない」という人もいるかもしれないので、一般的に手に入りやすい精油の中から、気分が落ち込んだときにおすすめのものを以下にご紹介しますね。

◉孤独感が強い時

ベルガモット*、オレンジ*

◉不安感が強い時

カモミール**、シダーウッド、ゼラニウム

◉(心が)傷ついている時

イランイラン、ローズ、マージョラム、メリッサ(レモンバーム)

◉精神的に疲れを感じている時

ラベンダー、レモングラス、ローズウッド

*お肌にはつけないようにしてください。
**キク科の植物にアレルギーがある方は安全を確認してから使用してください。

精油をどう使うか、その取り入れ方はさまざまありますが、気分が落ち込んだ時、一番簡単&安全なのは市販の拡散器(ディフューザー)を使うことです。

ぜひ日常に取り入れてみてくださいね!

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